Please, someone Help me​

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あるところに、うさぎの耳を持ったひとがいました。

彼は”都会”と呼ばれるような街に住んでいました。

まともな仕事も、お金も、ありませんでした。

家族も、友人も、いませんでした。

 

あるものといえば、ぴん!と立った長い耳だけ。

それでも、彼は自分の耳を誇らしく思っていましたし、

他の人よりも少しだけ優れた聴力で、

往き交う街の人々の”うわさ”を聞くのが大好きだったので、

早耳の情報屋として細々と暮らしていました。

 

ある日、彼は仕事で失敗をしてしまいました。

そして、片耳をうしなってしまいました。

 

“ いたい！こわい！どうして！ ”

“ だれでもいい たすけてくれ ”

“ だれか！ ”

 

都会。そう呼ばれているあの場所はとても広い。

広くて、新しくて、きれいで、めずらしいものがたくさんあって、たくさんの人が往き交って。

でも、確かにそこにいるはずの彼の悲鳴は、誰にも届かない。

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“だれもおまえを助けない、みんなおまえの長い耳が嫌いなんだ”

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あの日の彼の声を聞いて、手を差し伸べる人がどこかに居ますように。

彼がまた立ち上がることができますように。

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